2022年ベストセラーTOP10/スタッフ選出2022年ベスト・アルバム
2022年も残り僅かとなりました。今年は送料高騰や円安の影響を受けて厳しいながらも市場には様々な音楽が溢れ、そしてコロナ禍に入って以来の来日ラッシュや国内のライブイベントもたくさん行われ、ライブシーンが着実に前進してくれた1年でした!
去年に引き続き今年も、我々インパートメントがリリース&流通したCD/LP作品のベストセラーTOP10をそれぞれご紹介したいと思います!
更に、インパートメントスタッフがそれぞれ選んだ2022年のベスト・アルバムも引き続き合わせてご紹介させていただきます!
[2022年ベストセラーCD部門]
10. Quiet Corner – Always By Your Side
リリース : 2022年10月28日
レーベル : Quiet Corner
国内盤CD
ジャンルや国境、時代を超えて「クワイエット」という感覚で共通する、心を安らかに静める音楽を紹介するクワイエット・コーナー。2014年に発売されたディスクガイド本「クワイエット・コーナー」とコンピレイションCD『クワイエット・コーナー〜心を静める音楽集』はどちらもロング・セラーとなり、以来、コンピレイションCDはシリーズ化され、人々の日常に寄り添ってきました。
2021年、7年ぶりに発売されたディスクガイド本第二弾にあわせて、ジャケット・イメージや装いを新たにしたコンピレイションCD『Quiet Corner – Ma Fleur』が発売。好評をもって迎えられ、シリーズの変わらぬ人気を印象付けました。2022年8月にリリースされた第二弾『Quiet Corner – Windfall Light』に続いて、11月に第三弾『Quiet Corner – Always By Your Side』がリリースされます。ディスクガイド本の章の一つでもある「Always By Your Side」をテーマに、メロウなジャズ・ヴォーカルを中心にフォーキーなシンガー・ソングライターやしっとりと聴かせる南米音楽など、寒い季節に温かく寄り添う音楽を丁寧に並べました。
9. Alva Noto + Ryuichi Sakamoto Vrioon (reMASTER)
リリース : 2022年6月3日
レーベル : NOTON
国内流通盤CD
独自のアプローチで世界の音楽シーンをリードする、アルヴァ・ノトと坂本龍一の2002年の初コラボレーション・アルバムにしてミニマル・アンビエントの傑作『Vrioon』が、ボーナストラック1曲を追加し、待望のリマスター・リイシュー。
2002年にリリースされた本作『Vrioon』は、ドイツ人サウンドアーティスト、アルヴァ・ノトことカールステン・ニコライと、日本人音楽家・坂本龍一の初のコラボレーション・アルバムであり、その後4枚のアルバムがリリースされた<V.I.R.U.S.>(ヴァイルス)シリーズの第1弾となった作品。
8. orbe - orbe I
リリース : 2022年5月21日
レーベル :resonance music
国内盤CD
風のギター、光のピアノ、水のうたが循環する、みずみずしいトリオ作品。orbe(田辺玄+haruka nakamura)の1stアルバム。
7. World Standard for Quiet Corner – Diamond Days
リリース : 2022年3月26日
レーベル : Quiet Corner
国内盤CD
ジャンルも年代も超え、日常風景に優しく寄り添ってくれる音楽を紹介してきたQuiet Cornerの選曲による、ワールドスタンダード集。Quiet Cornerの世界観にも大きな影響を与えたワールドスタンダード/鈴木惣一朗の音楽へのリスペクトを込め、単なるベスト・セレクションではなく、あらたなコンセプト・アルバムとしてQuiet Cornerならではの感性で選びぬかれ、収められた21曲。それは音楽が、かけがえのない幸福な瞬間をもたらし、幾多の思い出が詰まった日々〜Diamond Daysの記録。
6. Sinesis Duo (Quique Sinesi, Augusto Sinesi) - Hojas y rutas nuevas
リリース : 2022年3月11日
レーベル : bar buenos aires
国内盤CD
アルゼンチンを代表する名ギタリストであるキケ・シネシが、実の息子でギタリスト/シンガーのアウグスト・シネシと組んだ「シネシス・デュオ」名義の記念すべきファースト・アルバム!カルロス・アギーレ、ジョアナ・ケイロス等がゲスト参加した、現在進行系のアルゼンチン音楽を聴くなら外せない一枚であり、親子の絆が、美しく純度の高い音楽として抽出されたような作品。
5. 冥丁 - 古風 Ⅱ
リリース : 2021年12月10日
レーベル : KITCHEN. LABEL
国内流通盤CD
「LOST JAPANESE MOOD」(失われた日本のムード)をテーマに、アンビエント・ミュージックやミュージック・コンクレートを融合させて、時とともに忘れ去られる日本の古い歴史の瞬間をノスタルジックな音の情景に再構築した3部作『怪談』『小町』『古風』で非常に高い評価を得てきた冥丁。前作『古風』をリリース後、冥丁は『古風』制作のために完成させたトラックがまだ47曲ほどあることに気づき、『古風』の世界観をさらに拡張しながら、より深く日本人のアイデンティティーについて思いを巡らせた本作『古風 II』を制作した。
4. haruka nakamura - スティルライフ
リリース : 2020年4月24日
レーベル : 灯台
国内盤CD
「grace」「Twilight」以降、 10年ぶり待望のソロ作品。シンプルで素朴な音色で、 生活に寄り添う音楽を紡いだミュート・ピアノソロアルバム。
2020年にリリースして2年が経った今もランクインするロングセラー作品。ポスト・クラシカルの名盤の1つです。
3.Numcha - Bloom
リリース : 2022年11月11日
レーベル : Lirico/Inpartmaint
国内盤CD
開花する才能。繊細で穏やかな歌声。
白熱するタイのインディー・ミュージック・シーン期待の新星“ナムチャ”待望のデビュー・アルバム!
2. Carlos Aguirre Quinteto - Va siendo tiempo
リリース : 2022年3月31日
レーベル :Shagrada Medra / bar buenos aires
国内盤CD
カルロス・アギーレが長年にわたって構想してきたギター五重奏団のアルバム。アルゼンチンの伝統音楽を継承しながらも、柔らかな音色のひとつひとつを重ね合うギターはたおやかな流れを思わせ、モダンなハーモニーで織りなすアンサンブルは無限の広がっていくよう。アギーレの歌はどこまでも優しく叙情豊かに、日常や自然の情景、そして愛し合うことの大切さを描きだします。
ピアノ弾き語りで同郷の偉大な先人たちの作品を甦らせた『ラ・ムシカ・デル・アグア〜水の音楽』から3年、音楽の旅を続けるカルロス・アギーレの新たなマイルストーンとなる作品です。
1. Quiet Corner – Windfall Light
リリース : 2022年8月12日
レーベル : Quiet Corner
国内盤CD
クワイエット・コーナーのコンピレイションCDシリーズの2022年夏盤。
ジャズとフォークとボサノヴァが織りなす、色彩豊かな音のスケッチ。南米を起点に、アフリカ、スペイン、北欧、イギリス、カナダといった世界各国に散らばる、とっておきの名曲ばかりを収録。心の奥底に響き、きらきらと舞い降りる、美しい光をまとった音楽を集めて。
今年もQuiet Cornerシリーズや関連作品を多くリリースさせていただきました!
[2022年ベストセラーLP部門]
10.ASPIDISTRAFLY - Altar of Dreams
リリース : 2022年6月10日
レーベル : KITCHEN. LABEL
国内流通盤LP
シンガポールのデュオASPIDISTRAFLYが前作より10年ぶりとなる待望の3rdアルバムをリリース!日本の80年代アンビエント・ポップやサウンド・コラージュを、魔法のように美しいアコースティック・アンサンブルと融合した、全く新たなインスピレーション溢れる意欲作。haruka nakamura、一ノ瀬響、ARAKI Shin、SUGAI KENがゲスト参加。
9.Goldmund - The Malady Of Elegance
リリース : 2022年2月4日
レーベル :Unseen
輸入盤LP
名盤と名高いKeith KenniffのGoldmund名義の2nd『The Malady Of Elegance』(2008 Type)がヴァイナルでリイシュー。新装アートワーク。Taylor Deupreeによるリマスタリング。
彼が実際に演奏する部屋の雰囲気を再現しようと、ピアノのハンマーが動く音やペダルが軋む音までを音響的な細部へのこだわりをもって録音されており、やさしいピアノのメロディーの背後にはほんのかすかな電子音を配置した、メランコリック・ピアノの歴史的名作。
8. toe - songs, ideas we forgot
リリース : 2022年2月11日
レーベル : Topshelf Records
輸入盤LP
Topshelf Recordsからの旧譜アナログリイシューシリーズ続編!2003年に発売のアルバムが再発。
7.Fleeting Joys - All Lost Eyes And Glitter
リリース : 2022年1月
レーベル : only forever recordings
輸入盤LP
急遽発表したFleeting Joysのニューアルバム。10年ぶりの新作だった前作『Speeding Away to Someday』から約3年、マイブラの新作よりもマイブラらしいサウンドとシューゲイザーファンの間で囁かれる彼らの新作はメロディーが際立った繊細な作品へと変化。ストレートな轟音サウンドだけに頼らない新しい境地を開拓。長年活動しながらもさらに先を目指す彼らの姿勢に感動させされます。
6. Heartbreakers - The L.A.M.F. Demo Sessions
リリース : 2022年6月18日
レーベル :Jungle
輸入盤LP
Johnny Thunders & the Heartbreakersの1976年~77年に録音されたデモセッション音源が6月18日RSD Drops 2022にヴァイナルでリリースされました!
5. haruka nakamura - スティルライフⅡ
リリース : 2020年12月18日
レーベル : 灯台
国内盤LP
haruka nakamura10年ぶりの待望ソロ作品にして初のミュート・ピアノソロアルバム『スティルライフ』(2020年4月リリース)の続編。
4. Janis Crunch & haruka nakamura - 12 & 1 SONG (Remastered Vinyl Edition)
リリース : 2022年12月23日
レーベル : KITCHEN. LABEL
輸入盤LP
2011年冬にKITCHEN. LABELよりリリースされたharuka nakamuraとJanis Crunchのコラボレーション・アルバム「12&1 SONG」が待望の初ヴァイナル化!本作は「冬の世界」をテーマに、2007年~2011年の毎年冬の季節のみに2人が制作した曲を集めたアルバム。
3. 冥丁 - 古風
リリース : 2020年10月
レーベル : KITCHEN. LABEL
輸入盤LP
国内外のエレクトロニック〜アンビエントシーンで大きな注目を集める冥丁の3rd アルバム。去年コロナのロックダウンによる製造工場の閉鎖などの影響で再プレスが遅れてしまい今年やっと再入荷した人気作です。
2. Holy Hive - Holy Hive
リリース : 2022年2月11日
レーベル : Big Crown Records
輸入盤LP
フォーク・ソウルという新たなジャンルを切り開いたホーリー・ハイブの2022年セルフタイトル作。世界的なCovid-19の大流行の中で音楽を創造し記録する事にチャレンジした作品であり、より彼らの内面を抽出した結果の記録ともいえるでしょう。
1. 冥丁 - 古風Ⅱ (LP)
リリース : 2022年1月28日
レーベル : KITCHEN. LABEL
国内流通盤LP
冥丁の傑作「古風」に続く今作LPが1位に輝きました!
以上、2022年ベストセラーTOP10でした!Tempoで在庫のある商品もございますので、是非チェックしてみてください。
続いて、インパートメントスタッフが選ぶ2022年のベスト盤をご紹介いたします!
・大崎 (Lirico)
順不同です。自分が国内盤制作や流通を担当した作品は外しました。
Prateek Kuhad - The Way That Lovers Do
レーベル : Elektra Records
インドのシンガーソングライターの最新作。数年前から動向を注視していて次の作品は日本で紹介したいと思っていたが気づけばアメリカのメジャーレーベル(Elektra)と契約していた。「次」を待っていたら大体チャンスを逃します。
Vansire - The Modern Western World
レーベル : self-released
米ミネソタのベッドルーム・ポップ・デュオの最新作。数年前から動向を注視していて次の作品は日本で紹介したいと思っていたがタイミングが合わずに見送った。ちなみに前作は同僚がオファーしていたが、レーベルの人が自分のやってるバンドをゴリ押ししてきて、断ったら返事がなくなったとのこと。
Duval Timothy - Meeting With A Judas Tree
レーベル : IPM
この人のピアノはなぜかすぐにこの人だとわかる。ライヴやらない主義のアーティストのようだが、ぼくが生きているあいだにうっかり気が変わってくれないだろうか。
・真加部 (Thomason Sounds)
Alex Siegel - Courage
レーベル : self-released
Branko Mataja - Over Fields And Mountains
レーベル : Numero Group
Anja Lauvdal - From a Story Now Lost
レーベル : Smalltown Supersound
ノルウェーのピアニスト。Laurel Haloによるプロデュースで制作された1枚。実験的要素と繊細でエレガントなピアノのバランスがちょうどいい感じ。
・西野 (AGATE)
V.A - Top Gun : Maverick
レーベル : Interscope Records
Flora Purim - If You Wil
レーベル : Strut
Wayne Shorter, Terri Lyne Carrington, Leo Genoese, Esperanza Spalding - Live At the Detroit Jazz Festival
レーベル : Candid
・Wing HighBridge
編集長から制約を課せられており、Duval Timothy "Meeting with a Judas Tree" と HATTORI Takashi "NOISE" の2大巨塔は自身の制作タイトルなので除かせていただきました。それでも今年は名作ばかり。Boo HissやTomberlin、DienneにFresh Pepperも入れたいなぁ...しかし編集長から3タイトルという制約と誓約を課せラレルヤ!ドントベンド!アセンド!*1
Axel Boman - LUZ/ Quest for Fire
レーベル : Studio Barnhus
完璧という幻想に最も近い表現に遭遇した気分。例年奇跡が起こるストックホルムより2作品を美しく濃厚な3LPもしくはDolby Atomsに目一杯詰め込んだ荒々しくも甘味な大爆発芸術。一緒にレーベルをやってるKornél Kovácsの新譜も素晴らしく、作家を取り巻くすべての環境と活動が渾然一体となってこの身に押し寄せるゥゥゥー!!!(何をするだァーッ?)*2
本邦の政治家よろしく誤解を招く表現ですが、やはり我々人類は音楽だけでは満足できなくなってきている。そしてこれが"音楽だけではダメ"と理解され、やがて私は干される。Ciao.
Valentina Magaletti - La tempesta Colorata
レーベル : A Colorful Storm
『脳汁小籠包』
Kali Malone - Living Torch
レーベル : Portraits GRM
2019年の"the Sacrificial Code"が私の人生に訪れてから、なぜこんなにも心奪われるのかを自分なりに研究理解せんと2LP(3CD)に踏み入れるも、毎度その思索虚しく開始5分も経たないうちにあの美しき空白のノイズへと吸い込まれ記憶と時間をがっぽり失う。私は音楽10 : 映画0の割合で暮らしているので説得力に乏しいのは自覚しているのですが、この作家の生み出す音楽は実質として映画だと思います。全感覚を奪われるので、実時間を要しますゆえ。
今作は先日、完全に油断して夜中の帰り道にヘッドフォン*5 で聴いたのですが、駅のホームで再生ボタンを押した刹那に自宅玄関に着いてしまい、普通ならそこで中断するところですが、天界の蛇口を捻ったかの様なその音の美しさと、この冬の寒さに抗えず、ニット帽とヘッドフォンを被ったままシャワーを浴びた午前1時。まさにLiving Torch!
*2 荒木飛呂彦 著『ジョジョの奇妙な冒険』第1部・ファントムブラッドに登場する、ジョナサンのセリフを引用。
*4 宮崎駿 監督/脚本『ルパン三世 カリオストロの城』より、エンディングで銭形幸一が放ったセリフより引用。元来これは三島由紀夫 脚本 深作欣二 監督の映画『黒蜥蜴』のオマージュでもある。
・南出 (Nu-Dada)
VOX POPULI - PSYKO TROPIX
レーベル : Touch Sensitive
フランスのエスノ/サイケ・バンドの1986年から1990年までのアーカイヴ音源集みたいです。音が気持ち良すぎてお金の余裕を何も考えずに衝動的にレコードを買いました。お金無くなってもうて生活は苦しいけど、部屋でインセンス焚きながらレコード回してサイケトリップした気になってニヤニヤ....する豊かな時間ができて嬉しいです。
SPOILMAN - HARMONY
レーベル : Kerosene Records
初めて聴いた時は暗くてトゲトゲジャキジャキのノイズ/ポスト・ハードコアでスリラー映画みたいな雰囲気のサウンドやなあというシンプルにかっこいい印象でしたが、この音楽性でタイトルが「HARMONY」なんめっちゃ変態ちゃうか......と気がついてしまい気になりすぎてライブ観に行きました。カチッとしたスーツ着て演奏しはるボーカルのカシマさん、よく聴くと「ティラミス、レッツゴー!」とか叫んでて、見た目の正統さと曲の暗さ鋭さと言葉の明るさが全部共存した怪奇的世界観がドンピシャタイプで感動......えへへ.....好きです.....。
Hickeys - Fragile Structure
レーベル : self-released
スペインはマドリードのガレージパンク/ポストパンクバンド。ブリブリに歪んだギターと旋律に乗せ切ってない語るようなボーカルが尖っててかっこいい...もし私がバンドやるならこんなガールズバンドやりたい。流通やろうとしたのですができなくて悔しいのでいつか日本でHickeysをリリースしていろんな人に聴いてもらいたい注目のバンドです。
長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
2022年も大変お世話になりました。2023年のインパートメントも何卒よろしくお願いいたします。