TRIOLA - Chiral
レーベル : triola
品番:trl004
フォーマット:国内盤CD
ストリングス界で異彩を放つ、須原杏 (violin) と波多野敦子 (viola) による弦楽デュオ新生TRIOLAが2年をかけて作り上げた第一作目がここに完成!
メンバーチェンジを経て再結成されたトリオラの最新作。エフェクターを駆使した独自の音作りで、これまでにないユニークで叙情的な音楽が生まれている。そしてゲストミュージシャンに石橋英子 (drums)、ジョー・タリア (percussion, mixing, mastering)、ジム・オルーク (bass) らを迎えることにより<室内楽>がメタモルフォーシスを起こし<キラル>が完成した。それは新ジャンルの誕生でもある。まるで一本の映画に浸るような、重厚な世界観の作品が仕上がっている。
ジャケットはオランダの気鋭画家Saskia Griepinkが今作を聴きながら描き下ろした”Masdevallis” (2018) 、アルバム最後の曲も同タイトル、絵画と音楽が密接に繋がったアート作品とも呼べる渾身の1枚。
Track listing:
1. キラル11 / Chiral 11
2. ファントム・ワルツ / Phantom Waltz
3. ミラーボールの暴走 / Runaway Mirrorball
4. 白い虹 / Halo
5. ふたりの螺旋 / Twin Spirals
6. 13Hzの暗号 / 13Hz Cipher
7. 逆火 / Back Fire
8. マスデヴァリア / Masdevallia
今、風邪をひいて隔離された部屋の中でこの作品を聴いている。僕は宇宙船から切り離された脱出ポッドの中。どこへ行くかはわからないが、自分が骨を埋めるべき場所へと向かっている事だけはわかる。いつか教科書で見た惑星が、地肌までありありと見えるほどに近づいては、またひとつ、またひとつと遠ざかる。静寂の中、体感できないほど物凄いスピードで飛んでいる。
ここまで書いたあと、共に送っていただいた、楽曲にあてられた物語を読み、自分の思い描いたイメージとの近さに驚いた。人けのない公共施設の本棚から、ふと手に取った手塚治虫作品の一コマ。煌めきと、緊張と、なんとも言いようのない刹那さがループするような感覚。
TRIOLAの1人である波多野敦子さんには、僕の「光」という楽曲に参加していただいた。あらゆる光は最後一つの点になる。それまでの間にいったい幾つの情景を、忘られぬ顔を、季節の機微を、この目で見ることになるだろう。この惑星の地肌を、僕はまだまだ確かめたくなった。
折坂悠太